三菱ケミカルが水島でエチレン減産を開始、中東情勢緊迫による原料調達難の影響:最新トレンドまとめ

中東情勢の悪化を受け、三菱ケミカルと旭化成は水島コンビナートでのエチレン生産を減産しました。ホルムズ海峡封鎖の懸念から原料ナフサの調達が困難になっており、住友化学などの他社も再稼働を延期。自動車部品や日用品への波及が懸念されています。

Last UpdateMar 13, 2026, 10:14:53 PM
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三菱ケミカルが水島でエチレン減産を開始、中東情勢緊迫による原料調達難の影響:最新トレンドまとめ

三菱ケミカルと旭化成は2026年3月12日、岡山県倉敷市の水島コンビナートにおいて、プラスチック原料となるエチレンの減産を開始しました。イランによるホルムズ海峡封鎖の懸念など中東情勢の悪化を受け、原料となるナフサの安定調達が困難になると判断したためです。この動きは国内の化学業界全体に広がっており、製造業のサプライチェーンへの影響が懸念されています。

三菱ケミカルや住友化学など化学大手がエチレンの減産や再稼働延期を決定
供給懸念により稼働調整を余儀なくされる国内の化学プラント

要約 (TL;DR)

  • 三菱ケミカルと旭化成が水島コンビナートでエチレンの減産を正式に開始。
  • 中東・ホルムズ海峡の封鎖懸念に伴う原料ナフサの調達難が直接の原因。
  • 住友化学や丸善石油化学も再稼働を延期し、国内のエチレン製造ラインが相次ぎ停滞。
  • 自動車部品や洗剤など、幅広い日用品の供給不足や価格高騰につながるリスク。

何が起きたのか

2026年3月12日、三菱ケミカルと旭化成は、共同運営する岡山県倉敷市の水島地区にあるエチレン製造装置(クラッカー)の稼働率を引き下げました。中東情勢の緊迫化により、原油およびその派生物であるナフサの輸入が滞るリスクが高まったため、在庫を温存し、長期戦に備える狙いがあります。

同様の動きは他社にも波及しており、丸善石油化学と住友化学は、定期修理を終えた千葉県市原市のエチレン装置について、再稼働を当面延期することを決定しました。これにより、国内で稼働する主要なエチレン装置のうち、少なくとも4基が減産または停止の状態に陥っています。

水島コンビナートでのエチレン減産の様子
三菱ケミカルと旭化成が減産を決めた水島コンビナートの全景

主な進展と状況

出光興産は、ホルムズ海峡の封鎖が長期化した場合、「エチレンの生産を完全に停止する可能性がある」として、既に取引先への通知を行っています。原料であるナフサの価格は、原油高騰に連動して急騰しており、石化メーカーの採算を圧迫しています。

イランによる機雷敷設の報道や「目には目を」といった強硬な声明が相次ぐ中、石化業界では1970年代の「石油ショック」に匹敵する事態への警戒感が強まっています。現在、各社は代替調達ルートの確保を急いでいますが、中東依存度の高い日本にとって決定的な解決策は見つかっていません。

なぜこれが重要なのか

エチレンは「産業の米」とも呼ばれ、ポリエチレンやポリプロピレンといったプラスチックの基礎原料です。この減産が長期化すれば、自動車の内装部品、家電製品の筐体、洗剤の容器、衣料用繊維など、現代社会に不可欠なあらゆる製品の生産が止まる恐れがあります。

特に2026年3月現在、原油価格の指標となるWTI原油先物やナフサ価格の変動は、最終製品への価格転嫁を招き、国内のインフレをさらに加速させる要因となります。企業の収益悪化だけでなく、消費者の生活に直結する深刻な事態へと発展しつつあります。

原油高騰とホルムズ海峡封鎖による石化ショックの図解
中東情勢が日本の化学産業に与える構造的なリスク

今後の展望

今後は、中東における海域の安全確保がいつなされるかが最大の焦点です。三菱ケミカルなどの大手各社は、当面の間、低い稼働率を維持しながら在庫管理を徹底する方針ですが、在庫が尽きる数ヶ月以内に事態が改善しなければ、さらなる追加減産や供給制限に踏み切らざるを得ない状況です。製造業各社は、プラスチック代替素材への切り替えや、海外からの製品輸入の検討を始めています。

用語解説

エチレン
石油製品の一種で、プラスチックや合成繊維、ゴムなどの製造に欠かせない最も基本的な化学原料のこと。
ナフサ
粗製ガソリンとも呼ばれ、原油を蒸留して得られる液体。エチレンを作るための主原料となる。
ホルムズ海峡
ペルシャ湾の入り口に位置する重要な海上交通路。世界の原油輸送の要所であり、ここが封鎖されると日本のエネルギー供給に甚大な影響が出る。

よくある質問

三菱ケミカルが減産を決めた理由は何ですか?

中東情勢の悪化によりホルムズ海峡が封鎖される懸念が生じ、原料となるナフサの入手が困難になると予想されたためです。2026年3月12日から、水島コンビナートでの稼働率を引き下げて在庫を温存する措置をとっています。

私たちの生活にどのような影響が出ますか?

プラスチック原料の供給が減ることで、レジ袋や洗剤ボトルなどの日用品、さらには自動車部品の生産が滞る可能性があります。原材料費の高騰により、これらの製品が値上げされる可能性が非常に高いです。

エチレンの減産はいつまで続きますか?

現時点では終了時期は決まっていません。中東の地政学リスクが解消され、ナフサの安定的な調達に目処が立つまで、三菱ケミカルや旭化成は制限的な生産を続ける方針です。

他の化学メーカーも減産しているのですか?

はい。三菱ケミカルと旭化成のほか、住友化学や丸善石油化学が再稼働を延期しています。出光興産も状況次第で生産を完全に停止する可能性があると発表しており、業界全体に広がっています。

代替の調達先はないのですか?

米国や東南アジアからの調達も検討されていますが、日本は原料の多くを中東に依存しているため、短期間で全ての不足分を補うのは難しいのが現状です。


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