大阪公立大教授の科研費約69万円を不正認定、架空出張や旅費の重複受給
研究のための出張として処理された旅費が、大学の調査で一つずつ検証された。大阪公立大学は8月24日、大学院工学研究科の倉方俊輔教授について、国の科学研究費助成事業の資金約69万円を不正に使用したと認定した。対象は2019年度から2023年度までで、実際には行っていない出張の旅費を修正しなかったケースや、兼務先との旅費の重複受給などが含まれる。教授は認定された内容の大部分を否定しており、大学は今後、処分を審議する。

何が起きたのか
大学の発表を伝えた朝日放送の報道によると、不正と認定されたのは工学研究科の倉方教授による科研費の旅費処理だ。科研費は、研究者の研究活動を支える国の競争的研究資金で、研究目的に沿った支出と適切な会計処理が求められる。
大学側は、出張前に旅費を申請した後、実際には出張しなかったにもかかわらず修正報告を行わなかったケースや、兼務先から旅費を受け取りながら科研費からも支給を受けたケースがあったと認定した。対象期間は2019年度から2023年度。不正使用額は約69万円とされている。
一方、教授側と大学側の認識は一致していない。教授は認定内容の大部分を否定していると報じられており、今回の公表は、大学側が調査結果として不正使用を認定した段階だ。
背景にあるもの
科研費は、研究テーマの遂行に必要な調査、資料、設備、旅費などに充てられる。研究者が国内外の現地調査や学会、資料収集に出向く場合、旅費は研究を支える重要な経費になる。その一方で、公的資金である以上、出張の実態や支払い元を確認できる記録が欠かせない。

倉方教授は建築史を専門とし、大阪公立大学では大学院工学研究科都市系専攻の教授を務めている。大学の研究者情報では、日本近現代建築史の研究に加え、建築を社会に紹介する活動にも携わっている。今回の問題で焦点になった期間には、科研費による研究活動も行われていた。
旅費を複数の組織から受け取る重複受給は、同じ出張費を二重に補填する形になるため、研究費管理では特に確認が必要な項目だ。また、予定していた出張が中止になった場合も、申請内容をそのままにせず、実績に合わせて精算や修正を行う必要がある。
今回明らかになった新事実
大学が不正認定に至るまでには長い調査期間があった。公表内容を伝えた報道では、大学は情報提供を受けてから約1年半にわたり調査し、その結果として不正使用を認定したとしている。

複数の報道は、旅費をめぐる処理が問題になった点で一致している。ただし、教授が認定された事実の大部分を否定していることも同時に伝えられている。このため、大学の調査結果と教授側の説明を分けて捉える必要がある。
大学は調査結果の公表で終わらせず、今後、教授に対する処分を審議する方針だ。処分の内容や決定時期は、8月24日の発表段階では示されていない。
研究現場に何を意味するのか
約69万円という金額だけを見れば、大型研究プロジェクト全体の予算と比べて小さく映るかもしれない。しかし、科研費は税金を原資とする公的研究資金だ。問題の中心は金額の大小ではなく、申請された研究活動と実際の支出が一致していたか、そして大学の管理手続きが正しく機能したかにある。
研究者にとっては、出張を変更・中止した際の精算、他機関から支給される旅費との調整、訪問や研究活動を確認できる記録の保存が改めて問われる事例となる。大学側にも、不正を発見した後の調査だけでなく、日常のチェックで重複や未精算を早期に見つける仕組みが求められる。
学生や一般の納税者にとって、科研費制度への信頼は研究そのものへの信頼にもつながる。研究成果だけでなく、その成果を支える資金が適正に扱われていることも、大学が説明責任を果たす上で欠かせない。
まだ明らかになっていないこと
現時点で未確定なのは、大学が最終的にどのような処分を決めるかだ。大学は処分を審議するとしているが、その種類や時期は公表されていない。
また、教授は大学が認定した不正内容の大部分を否定している。どの支出について大学と教授の主張が一致し、どの支出について説明が対立しているのか、その全容は今回確認できた公表内容だけでは明らかではない。今後、大学が処分や再発防止策を公表する場合、認定の根拠とともに説明されるかが焦点になる。
よくある質問
大阪公立大学で何があった?
大学院工学研究科の倉方俊輔教授について、科研費約69万円を不正に使用したと大学が認定した。
不正使用とされた期間はいつ?
2019年度から2023年度までの研究費処理が対象とされている。
どのような支出が問題になった?
実際には行かなかった出張の旅費申請を修正しなかったケースや、兼務先との旅費の重複受給などが認定された。
教授は不正を認めている?
大学の認定内容について、教授は大部分を否定していると報じられている。
大学はどれくらい調査した?
情報提供を受けてから約1年半にわたり調査し、不正使用の認定に至ったとしている。
教授の処分は決まった?
まだ決まっていない。大阪公立大学は今後、処分を審議するとしている。
リソース
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